※この山行は過去の記録(2023年1月21日)のものです。
今回は、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」のひとつ、黒河道から高野山へ登り、さらに町石道を九度山まで歩きました。
距離は約40km、累積標高差は2600mを超えるロングコース。修験の道をたどる濃い一日になりました。
- 黒河道(くろこみち)
橋本と高野山を結ぶ参詣道のひとつで、かつては女人道とも呼ばれました。高野参詣の裏口のような存在で、静かな雰囲気の中に石仏や祠が点在し、今も信仰の道の面影を残しています。 - 町石道(ちょういしみち)
高野山と九度山を結ぶ約20kmの参詣道。弘法大師が定めたとされる180基の「町石(石碑)」が立ち並び、一基ごとに祈りを込めながら歩く信仰の道です。現在は人気のハイキングルートとして多くの人に親しまれています。
行程(2023/1/21・土)
行動スケジュール
7:23 橋本駅 → 7:39 定福寺 → 7:57 五平坂弘法権現 → 8:00 鉄鉢法井戸 → 8:22 明神ヶ田和 → 10:13 久保田観音 → 10:25 くぢやま森の童話館 → 10:43 奈瀬跡 → 11:17 粉塵峠 → 11:46 転軸山登山口 → 12:04 一の橋 → 12:08 切畑堂 → 12:15 千手院橋(東)バス停 → 12:31 大門 → 12:32 熊谷如大堂跡 → 13:15 硯石 → 13:51 矢立茶屋 → 14:11 矢立石 → 14:47 弥六谷 → 15:22 神田地蔵堂 → 15:43 二つ鳥居 → 15:50 古峠 → 16:06 六本杉峠 → 16:22 笠取峠 → 16:41 錦密石 → 17:21 丹生官省符神社 → 17:25 慈尊院 → 17:31 道の駅くどやま → 17:46 九度山駅
(合計 10時間23分・距離 40.3km・登り 2620m / 下り 2624m・休憩19分)
黒河道の静けさ
スタートは橋本駅。街を抜けて黒河道へ入ると、そこからは静かな山道でした。すれ違ったのは一人だけ。始発だったこともあり、ひっそりとした雰囲気の中で、石仏や祠に見守られながら歩きます。

水場となる川もありましたが、この日はあらかじめ担いできた水で足りました。誰もいない山道を淡々と登り続ける時間が心地よかったです。
高野山の町へ
正午ごろ、大門に到着。巨大な仁王像が両脇に立ち、いよいよ聖地に入った実感が湧きます。

ただ、心境としては「やっと半分か…」というのが正直なところ。ここからさらに町石道を下ると思うと気が抜けません。
町に入ると温度表示が「-0.6℃」。数字だけ見ると寒そうですが、歩き続けていたのでシャツ1枚でも快適でした。

道すがら現れた高野山マスコットの石像には思わず笑ってしまいました。厳かな空気とゆるキャラのギャップがなんともいえません。

町石道を下る
午後からは町石道へ。こちらはさすが人気のルートで、すれ違う人もちらほら。
石碑を横目に、六本杉峠や笠取峠を越えながらひたすら下り続けます。眼下に広がる紀伊の里山の風景は、どこか懐かしさを感じるものでした。

ただ、長距離の下りで足の裏に水ぶくれができ、最後は一歩一歩が痛みとの戦いに。
ゴールの九度山へ
夕方、丹生官省符神社や慈尊院に到着。女人禁制だった高野山を仰ぎ見て、多くの女性参詣者が祈りを捧げた場所に立ち、感慨深い気持ちになりました。
そのまま九度山駅へ。

40kmを日帰りで歩ききった達成感と、水ぶくれでヘロヘロになった疲労感。両方を抱えて電車に乗り込みました。
まとめ
黒河道から高野山、そして町石道を九度山まで抜けるルートは、信仰の道の魅力と体力的な厳しさが両立したトレイルでした。
普段は六甲山全山縦走でトレーニングしていましたが、始発で出ても日没までに下りてこられず、前泊や深夜スタートが必要でした。その点、このルートはアクセスも良く、日帰りで「信仰のロングトレイル」を歩けるのが魅力です。
このあとも黒河橋〜極楽橋や、町石道〜極楽橋などを歩きましたが、今回の40kmはやはり特別な体験でした。
自然と歴史の交わる道を、自分の足でつなぐ――まさに「修行の一日」でした。

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