🏔 山行記録:大峯奥駈道 前半(吉野〜深仙ノ宿)

過去の山行

※この山行は過去の記録(2023年4月29日〜5月1日)のものです。

大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)は、奈良県吉野から和歌山県熊野本宮へと続く約100kmの修験道の幹線ルートです。標高1,000〜1,900m級の山々を縦走する険しい道で、今もなお修験者の修行が続けられています。
2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録され、日本古来の自然崇拝と山岳信仰が色濃く残る“信仰の道”として知られています。

吉野の金峯山寺から熊野本宮大社へ至るまでに、女人禁制の山上ヶ岳、近畿最高峰の八経ヶ岳、釈迦如来像が立つ釈迦ヶ岳など、象徴的な山々を越えていきます。険しい道のりですが、その分「歩くことそのものが修行」と感じられる特別な縦走路です。

私は以前からこの道に挑戦してきましたが、1回目は体力不足で前鬼で撤退、2回目は体調を崩して行者還ノ宿で断念しました。
そして三度目の挑戦。ゴールデンウィークを利用し、6日間かけて熊野本宮大社まで通しで踏破することができました。

この記事では、そのうち【前半(吉野〜深仙ノ宿の3日間)】をまとめます。後半(深仙ノ宿〜熊野本宮大社)は別の記事で紹介します。


1日目(2023/4/29・土|吉野駅〜洞辻茶屋)

行動スケジュール
7:58 吉野駅 → 8:23 金峯山寺 → 9:22 青根ヶ峰 → 11:42 四寸岩山 → 12:56 二蔵宿小屋 → 14:23 五番関 → 16:04 洞辻茶屋
(8時間08分・19.1km・登り2054m / 下り779m)

始発で吉野へ。駅を降りると大きなザックを背負った人がちらほら。皆、奥駈道を歩くのだろうと胸が高鳴ります。

朝の吉野はまだ静まり返っており、店もほとんど開いていません。奥駈道の出発点である金峯山寺に立ち寄り、山行の無事を祈願します。蔵王権現を祀るこの地に立つと、背筋が伸びる思いでした。

二蔵宿小屋で休憩を取り、急登の大天井ヶ岳は巻き道でかわしました。昼過ぎからは予報どおり雨が降り出し、山に試されるような気持ちになります。五番関の女人結界門を越え、修験の聖域へ。

この日は洞辻茶屋で宿泊。屋根の下で雨をしのぎながら、同宿者とともに一夜を過ごしました。


2日目(2023/4/30・日|洞辻茶屋〜行者還ノ宿)

行動スケジュール
9:15 洞辻茶屋 → 10:25 大峯山寺 → 10:39 山上ヶ岳 → 11:23 小笹ノ宿 → 12:50 明王ヶ岳 → 13:33 大普賢岳 → 14:33 七曜岳 → 15:29 行者還ノ宿
(9時間26分・10.7km・登り867m / 下り932m・休憩1時間52分)

二日目は朝から雨。これも予報どおりで、今日は一日中濡れる行程になると覚悟していました。風も強く、出発は少し遅め。

女人禁制の山上ヶ岳に登り、大峯山寺に参拝。今も修験者の修行が続く霊場は、霊気を帯びた静けさに包まれていました。

小笹ノ宿付近の川で水を汲み、雨の中で初めて浄水器を使用。女人結界門を越え、大普賢岳や七曜岳を経て進みます。

夕方に行者還ノ宿へ到着。二階建ての小屋で上段のスペースを確保できました。到着の頃には雨が上がり、雲間から夕日が差し込みました。修験の道で見た夕焼けは、苦労をねぎらってくれるようでした。


3日目(2023/5/1・月|行者還ノ宿〜深仙ノ宿)

行動スケジュール
4:16 行者還ノ宿 → 7:46 弥山 → 8:31 八経ヶ岳 → 9:19 禅師ノ森 → 11:33 楊子ヶ宿小屋 → 13:12 孔雀岳 → 14:53 釈迦ヶ岳 → 15:31 深仙ノ宿
(13時間43分・17.9km・登り1469m / 下り1391m・休憩2時間16分)

三日目は早朝に出発。他の登山者も同じ頃に動き出し、静かな列のように山道へ向かいました。

弥山から八経ヶ岳へ。標高1,915m、近畿最高峰の地に立つと、ただの登山道ではなく信仰の道であることを強く感じます。

さらに稜線を進み、釈迦ヶ岳へ。山頂の釈迦如来像は人力で運ばれたと伝えられ、修験の信仰の力を象徴しています。

その後、深仙ノ宿へ下山。風が強く不安でしたが、小屋には一人分の空きがあり、運良く泊まることができました。

同宿していた猟師の親子がイノシシ肉を焼いており、お裾分けしてもらいました。少し生焼けでしたが、山中で久しぶりに食べる肉の味は格別でした。後で「お腹を壊さなくてよかった」と笑い話になりました。


まとめ

こうして三度目の挑戦で、ようやく深仙ノ宿まで歩を進めることができました。
過去には前鬼や行者還ノ宿で挫折しましたが、今回はここまでたどり着けたことで大きな区切りを感じました。

雨や風に翻弄されつつも、信仰と自然が重なり合う道を歩くことで、心が研ぎ澄まされていくような感覚を覚えました。

この記事では前半部分を振り返りましたが、実際にはこのまま歩き続け、6日間で熊野本宮大社まで踏破しました。
後半(深仙ノ宿〜熊野本宮大社)は、次の記事でまとめたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました