登山を続けていると、ザックはただの道具ではなく「相棒」のような存在になってきます。
今回紹介するのは、私が何年もメインで使ってきた Mammut(マムート)のトリオンプロ35+7L。
すでに廃盤モデルですが、裏銀座や大峯奥駈道、西穂〜奥穂、北アルプス三大キレットといった長期縦走に、伊吹山や伯耆大山の冬山にも連れ出し、ほとんどの山行を一緒に過ごしてきました。
今では生地は擦れ、色も褪せ、全体的にボロボロ。それでも「まだまだ担げるぞ」と言わんばかりに現役で働いてくれています。
まずは、長年使い倒してボロボロになった現在の姿から。

参考程度に、ネットで見つけた新品に近い頃の正面写真も載せておきます。

購入のきっかけ
このザックを買う前は、弟が学生の頃に北海道旅行に行くときに買った無名ブランドの50Lザックを借りて山に登っていました。
最初は「これで十分」と思っていたのですが、年月が経つと加水分解や破れが目立ち、縫い目から白い粉が吹き出すように。背負い心地も悪く、肩に荷重がダイレクトにかかってすぐ疲れる。
「次は丈夫で、中型サイズのちゃんとしたザックが欲しい」
そう思って探していたときに出会ったのが、このトリオンプロです。
購入したのは、仕事の移動中に梅田で立ち寄ったショップ。移動先で試しにコピー用紙の束をこれでもかと詰め込んで背負った瞬間に衝撃を受けました。
「え、全然重くない!」
フレーム入りザックを初めて背負った瞬間の感動。
「今までの苦労は何だったんだ」と、無名ザックが急に気の毒に思えました。
デザインとシルエット
- カラー:灰色に蛍光の黄緑。山の中でよく映えるし、今もお気に入り。
- ロゴ:マンモスマークは泥で汚れてはいるけれど、まだしっかり残っている。見るたびに「今日も一緒だな」と思わせてくれる。
- シルエット:サイドポケットがなく、細長いスリムな形状。岩稜帯でも引っかからず動きやすい。
新品時の写真を見ると都会的でスタイリッシュ。今の手元の現役は色褪せてくたびれていますが、その「使い倒した跡」こそが歴史であり、魅力です。

実際の使い勝手と容量
35+7Lという容量は「小屋泊用でしょ?」と思われがちですが、工夫すればテント泊縦走にも十分対応できます。
- 下部:テント、衣服、マット、レインコート(圧縮できるもの)
- 上部:クッカー、ボトル、食料(押し込み系)
- 仕上げ:全体をギチギチに縛り、荷物がブレないようにする
この方法で、テント+6日分の食料+水を担いで裏銀座や大峯奥駈道を歩きました。
「35+7Lでそこまでいけるの?」と驚かれますが、実際いけます。
さらに背面がガバッと開く構造のおかげで、下部に入れたシュラフや衣服も簡単に取り出せます。
「全部引っ張り出して、また押し込んで…」という儀式から解放されたのは本当に大きい。
良かった点
- ギチギチに縛れる → 荷物がブレず、歩行中に余計な疲労がたまらない
- 背中側がガバッと開く → 下部の荷物も簡単に取り出せる
- 細長いシルエット → 岩場やキレットでも動きやすい
- 耐久性 → アイゼンを履いたまま踏んでも貫通しないほど頑丈。雑に扱っても破れない
頼もしさに関しては、これ以上ない相棒です。
惜しい点
- パッキングがシビア:押し込み必須。雨の日は濡れながら格闘することも。
- 容量の限界:夏山テント泊はギリいけるが、冬山テント泊は無理。
- 蒸れ:夏は背中がサウナ。
- ULザックに比べて重い:最近のULザックに比べると確かに重い。でも「体力で担ぐ派」なので大きな不満はなし。むしろフレームがしっかりしていて、意外と負担は少ない。
季節ごとの使い勝手
- 夏山:テント泊縦走にジャストサイズ。日帰りだと「やけに大きい人」になる。
- 冬山:テント泊はアウト。ただし日帰りなら容量も剛性もぴったり。
伊吹山や伯耆大山の冬山日帰りでは、「これ以上でもこれ以下でもない」サイズ感に助けられました。
今の位置づけ
現在のザック使い分けはこんな感じです。
- トリオンプロ35+7L → メイン。ほとんどの山行で使用。
- ミステリーランチ グレーシャー → トレーニングと冬山テント泊用。今年モデルチェンジしていて、私が使っている型とは仕様が少し違うようです。
- ミステリーランチ クーリー25 → 日帰りやツェルト1泊用。ただし25Lは廃盤になり、サイズ展開が一新されたのが少し残念。
結局、一番手に取るのはトリオンプロ。
擦り切れてボロボロになりながらも、「まだまだ一緒に行けるぞ」と言ってくれる気がします。
廃盤を知って
廃盤と知ったときはショックでした。
丈夫さ、背負い心地、容量のバランス。全部がちょうど良かったからです。
次に買い替えるとしたら何を選べばいいのか。
今も答えは見つからず、結局ボロボロの相棒を背負い続けています。
まとめ
マムート「トリオンプロ35+7L」は、私にとって“万能の相棒”。
裏銀座、大峯奥駈道、三大キレット、冬の伊吹山や伯耆大山。
数えきれない山行を共にし、今も背中に馴染んでいます。
生地は傷み、色も褪せましたが、それは「一緒に歩いた証」。
ザックを見るたびに、あのときの山の風景や空気がふっと蘇ってきます。
廃盤ではありますが、中古で出会えたなら、それはもう“運命”。
新品じゃないからこそ、背負った瞬間に自分だけの相棒になってくれるはずです。
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