「山でも街中と変わらないグルメを、複雑な調理なしで食べたい」。
そのニーズに刺さる MOUNTAIN GOURMET LAB.(MGL) を、登山の現場目線でまとめました。まずは3品のスペックを俯瞰し、味の傾向と作りやすさを押さえたうえで、実地レビューと“山で扱いやすくするコツ”へつなげます。
概要(スペック比較)
| メニュー | 価格 | 内容量 | できあがり量(目安) | 熱量 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|---|---|
| 鶏と舞茸のシェリー煮込み(リゾット仕立て) | ¥1,980 | 90g | 約330g | 318kcal | 舞茸×鶏の旨みをシェリーの酸と香りで締める“沁みる系”。就寝前にも重すぎない。 |
| タケノコと柑橘のグリーンカレー | ¥1,980 | 111g | 約350g | 575kcal | 筍と豚ひきに柑橘の大ぶりスライス。清涼感で味覚リセット、最後まで飽きにくい。 |
| ラムと豆のトマトシチュー(ブルグル入り) | ¥1,680 | 85g | 約325g | 241kcal | ブルグルのプチプチとトマトのコク。中東×アフリカン×フレンチの旅情。 |

「地上でも最高で美味しいものを山で。究極の食体験が得られる山ごはん」
テント内で1人で食べる時でも、この写真どおりの“ごちそうの気分”で味わっています。
あとこのイメージ画像大好き。
味の傾向/レビューの要点
鶏と舞茸のシェリー煮込み(リゾット仕立て)
クリームの円やかさに舞茸の香り、そしてシェリー(ワイン)由来の軽い酸と香りが後味を整えます。
ピンクペッパーは主張しすぎず、鶏肉の存在感はしっかり。
約300g超にふくらみ、満足密度が高いのに“重すぎない”ため、一日の〆に気持ちよく収まります。
タケノコと柑橘のグリーンカレー
ココナッツのコクとスパイスの辛味の上に、大ぶりの柑橘スライス(長門ゆずきち/ライム系)が弾ける清涼感とほろ苦さを付与します。
味覚リセット効果で食べ飽きにくく、行動中ランチでもスプーンが止まりません。
辛さは“強すぎず”で、幅広く食べやすい印象です。
ラムと豆のトマトシチュー(ブルグル入り)
これはまだ食べていないため、印象はあっさりとだけ書いておきます。
トマトの酸と甘みにラムのコクと豆の旨みが重なり、ブルグル(デュラム小麦のひき割り)のプチプチ食感がリズムを作る、と説明されています。
プラムの甘酸っぱさがアクセントに入り、家庭では出しにくい“中東×アフリカン×フレンチ”のニュアンスが立つとのこと。次の山行で開けるのが楽しみです。
作り方(山での使い勝手)
手順はどれも共通で、クッカーに中身と水(目安 250ml)を入れて軽く混ぜ、火にかけて沸騰 → 火を止めてフタをして15分蒸らすだけです。
蒸らし明けに底からよくほぐすと、芯っぽさのない均一な仕上がりになります。
袋調理にも対応しており、内側の目印線まで熱湯 → 約15分で完成します。
非常時は水戻し 3〜5時間でも可とされており、燃料がシビアな状況のバックアップになります。
フライパンでの調理も可能ですが、径が大きいと水分が飛びやすいので、火力と撹拌で調整するのが安全です。
実地レビュー(私の経緯とファーストインプレッション)
以前はアルファ米とインスタントラーメンで回していました。
最初は良かったのですが、回数を重ねるにつれて、夕食が「美味しく食べる時間」ではなく「必要エネルギーを摂る作業」になっていきました。
そこで味の満足度を上げようと、ここ数年は東洋水産の中華風おこわをモーリアンヒートパックで温めるスタイルに。
これは確かに美味しく、クッカーを使わないのでラーメンと同時進行もしやすいのですが、どうしても重くて嵩張る。
さらにヒートパックがうまく当たらないと温まり切らず、ボソボソで残念な仕上がりになることもありました。
そんな中で目を付けたのが MOUNTAIN GOURMET LAB. です。
発売前から「美味しそうだな」と注目していたものの、1つ2000円・1万円未満は送料ありという条件があり、手軽には試せず見送っていました。
最近、大阪駅で一時販売があると聞き、第一弾の3種を購入。店頭でスタッフの方と話すと、私の少し前にも同じ理由で買いに来た方がいたそうで、
「分かる人には刺さるアイテムなんだな」と実感しました。
テント泊でまず開けたのは鶏と舞茸のシェリー煮込み。
想像以上に美味しく、ピンクペッパーの軽い刺激が良いアクセントになって、素直に感動しました。
タケノコと柑橘のグリーンカレーは“カレー感”は控えめに感じたものの、ゆずの酸味と筍の食感のコントラストが心地よく、スプーンが止まりません。
どちらも食べ終わったクッカーで続けてラーメンを作ると、残った旨味がスープに移って、とても美味しい“二度目のご褒美”になりました。
ラムと豆のトマトシチューは未体験なので、次の山行で開けるのを楽しみにしています。
山で扱いやすくするコツ(段取りと仕上げ)
クッカーを使う前提だと、ラーメンと同時調理は不可です。
同時進行したい日は、袋調理対応のメニューを選ぶと段取りが楽になります。
沸騰後に15分放置する工程は、厳冬期だと冷めやすいのが悩みどころ。
弱火でコトコト保温する、あるいはコジーやジャケットで包むと、仕上がりが安定します。
仕上げのひと手間として、リゾットには粉チーズを少量、グリーンカレーにはカシューナッツや乾燥ハーブをひとつまみ。
荷物にほぼ影響しない軽さで、満足度が目に見えて上がります。
食後の“追いラーメン”は、クッカーの旨味をフル活用できるのでおすすめです。麺を入れて沸かすだけで、もう一杯の幸せが手に入ります。
いまの評価と次の一歩
正直、美味しすぎてたまに普段でも食べたくなるレベルです。
ただ、1食2000円は日常使いには高すぎて、さすがに我慢するしかありません。
だからこそ、山で食べる一食の価値がぐっと上がると感じています。
MOUNTAIN GOURMET LAB. の掲げる
「地上でも最高で美味しいものを山で。究極の食体験が得られる山ごはん」
という謳い文句には、今のところ偽りなしです。
欠点は、クッカー同時調理の難しさ・冬の放置で冷めやすい点・価格と入手性のハードルです。
それでも、幕営地の時間が“特別な時間”に変わるリターンが勝っています。
しばらくは MOUNTAIN GOURMET LAB. を相棒に山へ行くつもりです。
次は**「山椒七味香る豚汁雑炊」**を試してみたいですし、大阪でももっと気軽に買えるようになることを切に願っています。
そして、今後の味の展開もとても楽しみです——新作が出るたびに、また山へ持って行きたくなるはず。

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