黒河道とは
黒河道は、橋本から高野山へと続く高野参詣道のひとつです。山頂を目指す登山というより、集落、舗装路、山道、古い道標をつなぎながら、少しずつ高野山へ近づいていく道です。
派手な展望が続くわけではありませんが、静かな道を歩いていると、昔の人もこうして高野山を目指したのかな、と思えるような時間があります。登山というより、長い参詣道を自分の足でたどる一日。そんな雰囲気のあるルートです。
概要
前回の大日岳で、思っていた以上に体力の衰えを感じました。去年までならもう少し余裕があったはずなのに、登り始めから体が重くて、下山後もしっかり筋肉痛。少し焦りもあって、GWの天気を見ながら「行くなら今日かな」と思い、5/2に始発で黒河道へ行ってきました。
まだ筋肉痛は残っていました。むしろ、階段を下りるだけでも少し脚にくるくらい。でも、だからこそ今の体力を確認するにはちょうどいいのかもしれないと思いました。
橋本駅から高野山方面へ歩き、最後は極楽橋駅へ。距離は約21km。急登を一気に登るというより、長い距離と細かなアップダウンでじわじわ削られるタイプの道です。写真は撮らず、今回はひたすら歩くことに集中しました。
5/2(土)
6:53 橋本駅 → 11:30 高野山森林公園駐車場 → 12:13 女人堂 → 12:51 極楽橋駅
(約6時間・21.6km・登り1697m / 下り1260m)
スタートは橋本駅。始発で着いた駅前はまだ静かで、街全体がゆっくり起き始めるような時間でした。登山口から始まる山行とは違って、最初は街の中を歩きます。舗装路を進み、集落の気配を感じながら、少しずつ山へ向かっていく。この「日常から山へ入っていく感じ」が、黒河道らしくて少し好きです。
歩き始めは、思ったより脚が動きました。ただ、少し登りが出てくると、前回の大日岳の筋肉痛がじわっと顔を出します。太ももが重い。ふくらはぎも少し張っている。「あ、まだ全然残ってるな」と思いました。
それでも歩けないほどではなくて、止まる理由にもならない。今日は体力確認。そう思って、淡々と進みます。
しばらくは舗装路や集落の道。ところどころにお寺や石仏、古い道標があって、ただ移動しているだけではなく、参詣道を歩いている感覚が少しずつ出てきます。派手ではないけれど、こういう道の静けさは嫌いではありません。

山道に入ると、空気が一段静かになりました。人の気配は少なく、自分の足音と呼吸だけがよく聞こえます。景色で気分が大きく変わる道ではないので、自然と歩くことだけに集中していく感じ。こういうルートは、気持ちが切れると急に長く感じるので、先のことはあまり考えないようにしました。
次の曲がり角まで。次の道標まで。次の少し平らなところまで。そんなふうに小さく区切って歩きます。
黒河道は、急登で一気に苦しくなるというより、長い距離でじわじわ削ってくる道でした。登りも下りも、舗装路も山道も、少しずつ脚に積もっていく。筋肉痛が残っている状態だと、そのじわじわがなかなか効きます。「これは軽い散歩ではないな」と、途中でちゃんと思いました。
中盤を過ぎるころには、完全に距離との戦いになっていました。しんどいけれど、歩けないほどではない。止まりたいほどではないけれど、楽でもない。この中途半端な負荷がずっと続きます。
でも、前回の大日岳で感じた不安を少しでも薄めたくて来たので、ここでへこたれるわけにはいきません。脚は重い。でも、まだ進める。それだけを確認しながら歩きました。
やがて高野山森林公園駐車場へ。ここまで来ると、かなり高野山に近づいた感覚があります。時計を見ると、思っていたより順調でした。筋肉痛ありでこのペースなら、思ったより悪くないかもしれない。少しだけ安心しました。
そこから女人堂へ向かう道では、少しずつ高野山らしい空気が混じってきます。車の音、人の気配、観光地に近づいていく感じ。それまでの静かな山道とは空気が変わって、急に現実に戻っていくようでした。
女人堂に着いたときは、派手な達成感というより、じわっとした安心感がありました。「ああ、ここまで歩いてきたんだな」。そんな感じです。
いつもなら、高野山で精進ラーメンを食べるのが楽しみのひとつです。でも今回は、思っていたより早く歩けていました。ここでゆっくり食べるより、このまま極楽橋駅まで進んでしまおう。少し名残惜しさはありましたが、今日の目的は体力確認。最後まで歩き切る方を選びました。
観光客の賑わいを横目に、気持ちを切り替えて極楽橋駅へ向かいます。最後の区間は、もう山行というよりゴールへ向かう仕上げの時間でした。脚には疲れがあるけれど、思ったより歩けている。そのことが少しうれしい。大日岳のあとに感じていた体力への不安が、ほんの少しだけ薄れていくようでした。
12:51、極楽橋駅に到着。写真もなく、山頂もなく、大きな景色もない。でも、ちゃんと歩き切った一日でした。
まとめ
黒河道は、景色で楽しむというより、静かな道を淡々と歩き切る山行でした。古い参詣道らしい雰囲気があり、登山とはまた違う達成感があります。
ただ、とにかく長いです。前回の筋肉痛が残った状態だったこともあり、後半はじわじわ脚にきました。それでも、最後まで歩き切れたことで、少しだけ体力への不安が軽くなった気がします。
いつもの精進ラーメンは食べずに終わりました。でも、その分今日は「歩くこと」に集中できました。大きな景色や写真がなくても、自分の身体の状態を確かめるには、こういう道がちょうどよかったのかもしれません。
派手ではないけれど、じわっと残る満足感。黒河道は、そんな一日をくれるロングルートでした。

コメント