テント泊の朝、ダウンシュラフが結露で濡れている。あれは何度経験しても、ちょっと嫌だった。ひどいときにはゴミ袋やレインウェアをかぶせて、なんとか寝袋を守っていた。眠る道具なのに、濡らさないために気を使い続けるのは、やっぱり面倒だった。
そんなことを繰り返しているうちに、「これ、シュラフカバーを使った方が楽なのでは?」と思うようになった。手元にあるのは、イスカのゴアテックスシュラフカバー ウルトラライト ワイド。2017年に買った旧モデル(型番200821)で、気づけばずいぶん長い付き合いになっている。
買った当初は、厳冬期の厚い寝袋を覆うための道具だった。それが今では、3シーズンのテント泊やツェルト泊でも出番が多い。寝袋を持たず、上下ダウンとカバーだけで眠るようになるなんて、当時は考えていなかった。どうして使い方が変わったのか。山で感じたことと一緒に、旧型と現行モデルの違いも振り返ってみたい。
使っているのは2017年購入の旧ゴアテックスモデル
Amazonの購入メールを見返したら、注文日は2017年10月31日。価格は21,105円(税込)だった。イスカを選んだのは、何か特別なこだわりがあったからではない。知っているブランドだったから、というくらい。今振り返ると、買うときは案外あっさり決めていた。
ワイドにしたのも、厳冬期のもこもこした寝袋を外から包むなら、大きめの方がいいかなと思ったから。サイズ選びにも、それ以上の深い理由はなかった。そんなふうに選んだ道具が、今では季節を問わず出番の多いものになっている。
| 製品名 | ISUKA ゴアテックスシュラフカバー ウルトラライト ワイド |
|---|---|
| 型番 | 200821(旧モデル) |
| 素材 | 15デニール GORE-TEX・3層構造 |
| サイズ | 肩幅87×全長209cm |
| 収納サイズ | 8×8×25cm |
| 公称重量 | 約410g |
| カラー | ネイビーブルー |
| 購入日・購入価格 | 2017年10月31日・21,105円(税込) |
※仕様は当時の販売店掲載情報。重量・収納サイズはメーカー公称値相当で、私の実測値ではない。参考:好日山荘の旧モデル製品資料。
ダウンシュラフを濡らさないために、寝具そのものを変えた
ゴミ袋やレインウェアでダウンシュラフを覆う方法も、その場しのぎにはなっていた。ただ、毎回同じように寝具の濡れを心配するなら、そろそろ専用のカバーに任せたい。そんな気持ちが少しずつ強くなっていった。
雨がひどい日は、濡れたレインウェアを着たままテントに入ることもある。狭い中で動くたびに、寝袋が濡れないか気にしなくてはいけない。ようやくテントの中に入れたのに、今度はダウンを守るために気を使う。これが地味につらかった。
シュラフカバーを使えば、濡れを心配する場面を減らせそう。でも寝袋とカバーを両方持っていくと、どうしてもかさばる。そこで、いっそ寝袋を置いて、上下ダウンとシュラフカバーで眠ることにした。上のダウンはもともと防寒着として持っていくものだったから、荷物の役割をまとめられるのもよかった。
いまの3シーズンは基本的にこの組み合わせ。寒そうなときだけ象足を追加する。厳冬期にはmont-bellの#0クラスの寝袋を使い、象足も欠かせない。つまりシュラフカバーは共通でも、中身は季節と予想気温によって変えている。
寝袋を省くときほど、マットの断熱性は気にしている。現在使っているNEMO TENSOR ALL SEASONのレビューはこちら。

雨の日のツェルト泊で、気持ちがずいぶん楽になった
テントだけでなく、ツェルトでも使っている。ツェルトは軽くていい反面、床は申し訳程度の布。雨の日には内部でも地面からの濡れを気にしなくてはいけない。
以前は、寝具の置き方ひとつにも気を使っていた。今は濡らしたくない物をシュラフカバーの中へさっと入れておけるし、少しくらい雑に扱えるのがありがたい。雨の夜に「これが濡れたら困るな」とずっと考えなくてよくなった。それだけで、ツェルト泊の気持ちの余裕はかなり違う。
もちろん、シュラフカバーがあれば床の浸水まで無条件に防げるわけではない。開口部から水が入る状況や、長時間水に浸かるような状況は別の問題だ。それでも、結露や雨滴への気遣いがぐっと減るのは確かだった。
使っているfinetrackのツェルト2ロングについても、別の記事にまとめている。

11月の鈴鹿、朝起きたら一面の雪だった
印象に残っているのは、2023年11月の鈴鹿セブンマウンテン。八風峠付近でツェルト泊した夜だ。装備は3シーズン想定で、上下ダウンを着て、象足は持っていなかった。下には当時使っていたmont-bellのエアマットを敷いた。後に穴が空いた、あのマットだ。
翌朝、ツェルトの外は一面の雪景色だった。3シーズン装備だったので、さすがに驚いた。でも、夜は思っていた以上に眠れて、早朝に一度起きたあとも二度寝できた。もちろん、これで寒さへの備えが十分だったという話ではない。実際、その後は雪と風を見て縦走を中断している。それでも、あの夜を過ごせたことは、この組み合わせを今も使い続けている理由の一つだと思う。

当時の鈴鹿縦走の記録はこちら。雪と強風で下山を決めた経緯も残している。

9年使って、内側が濡れた記憶はない
透湿性はどうなのか。正直に言うと、細かな温湿度を測って比較したわけではない。ただ、これまで使ってきて、朝起きたらシュラフカバーの内側が濡れていた、という経験はない。蒸れが大きな不満になったこともなかった。
出入りや収納についても、これといった不満は思い浮かばない。9年近く使っている道具なのに、改めて欠点を聞かれると少し困ってしまうくらい。派手な便利さはないけれど、使うたびに余計な心配を減らしてくれる。そういう道具は、気がつくとずっと手元に残っている。
ただし、内側が濡れなかったのは私の使用経験であって、誰がどんな条件で使っても結露しないという意味ではない。気温、湿度、中に着るもの、通気の取り方によって条件は変わる。
旧ゴアテックスと現行INFINIUMワイドを比較
いま販売されているのは、名称に「GORE-TEX INFINIUM」が入るモデル。私が使っている2017年購入品とは型番も素材の仕様も異なる。名前が似ているので、購入前に整理しておきたい。
| 比較項目 | 旧モデル(所有品) | 現行モデル |
|---|---|---|
| 製品名 | GORE-TEX UL ワイド | GORE-TEX INFINIUM UL ワイド |
| 型番 | 200821 | 201821 |
| 生地 | 15D・3層構造 | 30D・3層構造 |
| 公称重量 | 約410g | 405g |
| サイズ | 87×209cm | 87×209cm |
| 収納サイズ | 8×8×25cm | 8×8×22cm |
| 防水・透湿 | 対応 | 対応(メーカー説明) |
| 価格 | 21,105円(購入時) | 23,650円(2026年10月確認) |
現行モデルは生地が15Dから30Dになり、公称重量は5g軽く、収納時の長さも3cm短くなっている。とはいえ、私は現行INFINIUMモデルを使ったことはない。数字だけで「新型の方が丈夫」「透湿性が上がった」と断定はできない。
現行モデルも、イスカは防水性と透湿性を備えたシュラフカバーとして紹介している。製品仕様と対応する寝袋はイスカ公式の現行製品ページで確認できる。
下の商品リンクは現行モデルのワイド(型番201821)。ここまで使用感を書いた旧型200821とは別製品なので、購入する場合は型番や価格、在庫を確認してほしい。
向いているのは、雨と結露に気を使ってきた人
このカバーを薦めたくなるのは、まずダウンシュラフの結露や水滴が気になる人。そして、雨の日のテント泊・ツェルト泊で、寝具の置き場に神経を使っている人だ。厳冬期の大きな寝袋を覆う目的にもワイドは合っている。
一方で、寝袋と併用するなら約400gの荷物が増えるし、安い道具でもない。しかもシュラフカバーだけで、ダウンシュラフと同じ保温力が得られるわけではない。上下ダウンだけで眠る方法は、気温・風・標高やマットの断熱性を見誤ると危険になる。3シーズンだから誰でも寝袋を省ける、という話ではない。
私も最初から寝袋を置いていくために買ったわけではなかった。濡れを避けたいという小さな不満を解消していくうちに、いつの間にか寝具の組み方まで変わっていた。
まとめ|買った理由より、使い続ける理由が増えた
2017年に買ったときは、厳冬期の分厚い寝袋にかぶせるためのワイドサイズだった。それが今では、3シーズンの結露対策、雨の日のツェルト泊、上下ダウンで眠るときの外側と、ずっと出番の多い道具になっている。
今のところ、これといった不満はない。暖かさを劇的に変えてくれた道具というより、夜、ダウンを濡らさないためにあれこれ気を使わずに済む道具。雨の日や結露の多い夜ほど、そのありがたさを感じる。買ったときには想像していなかったけれど、この気楽さが私にはいちばん大きかった。

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