登山ザックは、同じ荷物を入れても、詰める場所で背負い心地が変わります。
容量には余裕があるのに妙に後ろへ引かれる。歩くたびに中身が揺れる。休憩のたびに必要な物が底から出てくる。こうした小さな面倒は、ザックそのものよりパッキングの順番が原因かもしれません。
考え方は難しくありません。重い物、濡らしたくない物、すぐ使う物を分けてから入れる。私はクーリー25とグレーシャーを使い分けていますが、容量が変わっても、この三つを先に分けると迷いが減ります。
重い物は背中に近づける
水、食料、クッカー、テントの一部など、密度の高い物はザックの背面側へ寄せます。外側へ離れるほど、同じ重さでも後ろへ引かれる感じが強くなるからです。
deuterの公式パッキングガイドでも、重い装備は肩の高さ付近で、できるだけ背中へ近づける方法が示されています。ただし、急な岩場や不整地では重心を少し下げるなど、歩く場所によって調整する考え方も大切です。
「一番重い物は必ず上」と固定するより、まず背中から離さない。細かな正解を覚えるより、この一つを決めておく方が私は迷いません。
ザックの下には、行動中に使わない柔らかい物
底には、シュラフ、着替え、テント泊なら就寝用のダウンなど、行動中に何度も出さない物を置きます。柔らかい物が下にあると、硬い装備が底面へ直接当たるのも避けやすくなります。
一方で、雨具や防寒着まで底へ押し込むと、天候が変わった時に全部を出すことになります。雨が来そうな時にザックの中身を広げるのは、できればやりたくありません。夜にしか使わない物と、休憩で使う物は分けた方が楽です。
背中側の中央に入れたい物
- 水の予備
- 食料のまとまり
- クッカーやバーナー
- テント本体など比較的重い装備
角のある物は、そのまま背面へ当てません。衣類やスタッフバッグを間に入れ、歩いている間に背中へ押しつけられない向きにします。
水は重いので背中側へ置きたい一方、補給できないほど奥へ埋めると使いにくくなります。重心だけ考えるときれいに収まっても、飲むたびに荷物を動かすのは少し面倒です。ハイドレーション、サイドポケット、予備水の場所を分けると、重心と取り出しやすさを両立しやすくなります。
上部には、止まった直後に使う物
雨具、薄い防寒着、救急用品、ヘッドランプは、ザックの上部か決めたポケットへ置きます。
特に防寒着は「寒くなったら探す」のでは少し遅めです。休憩に入ってから「あれ、どこに入れたっけ」と探す時間は短くても意外と嫌なもの。先に羽織れる位置を決めておくと、ザックをひっくり返さずに済みます。
救急用品は使用頻度が低くても、取り出しやすさを優先します。普段使わないから底、ではなく、必要になった時に迷わない場所へ固定します。
外ポケットへ入れる物は落下も考える
行動食、手袋、地図、日焼け止めなどは、サイドポケットやフロントポケットへ入れると便利です。ただ、岩場や藪では落としたり引っ掛けたりする可能性があります。
ボトルが深く収まるか、ファスナーを閉められるか、ザックを置いた時にこぼれないかまで確認します。便利な場所ほど、収納したつもりで失くすことがあるので少し慎重になります。
濡らしたくない物は「ザックカバー頼み」にしない
ザックカバーは外側の濡れを減らせますが、背中側から入る水や、横殴りの雨まで完全に止めるとは限りません。
シュラフ、着替え、電子機器は防水スタッフバッグや袋で個別に守ります。濡れたレインウェアやテントを収納する場所も、乾いた衣類と分けておきます。
中身をすべて細かく袋分けすると、今度は袋ばかり増えて探しにくくなります。きれいに整理したくなるところですが、私は「睡眠」「衣類」「濡れ物」くらいの大きな単位の方が気楽です。暗いテントでも迷いにくくなります。
25Lと大型ザックで変わること
日帰り用の25L前後では、荷物が少ない分、空いた空間で中身が動きやすくなります。コンプレッションストラップを締め、重い物が外側へ倒れないようにします。
テント泊用の大型ザックは、入るからといって追加し続けると重くなります。大きいザックほど「まだ入る」が少し怖いところです。下から順に詰める前に、床へ全装備を並べ、役割が重なる物を減らしてから入れる方が効きます。
モンベルは日帰りの標準容量として20〜25Lを目安に挙げていますが、季節やコースで必要装備は変わります。容量だけで安全装備を削らず、先に必要な物を決める順番が大切です。
出発前に一度、背負って歩く
詰め終わったら、家の中でもいいので少し背負います。
- 後ろへ引かれないか
- 硬い物が背中へ当たらないか
- 左右どちらかへ傾かないか
- 雨具と救急用品をすぐ出せるか
- 中身が歩くたびに動かないか
気になる時は、全部やり直さなくても、重い物を背中側へ数センチ寄せるだけで変わることがあります。
パッキングに唯一の正解はありません。私も容量や季節が変われば入れ方は変えます。それでも、必要な物が必要な時に出て、歩いている間に荷物が暴れない。この二つができるだけでかなり気持ちが楽です。出発前の数分で、山の中の小さなストレスはずいぶん減らせます。

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