登山ストックは、1本でも歩けます。2本あれば必ず楽になる、という道具でもありません。
私も以前は、祖母が使っていたT字型のストックを1本持って山へ入っていました。片手が空くし、邪魔になりにくい。初めて使うには分かりやすい道具でした。
その後、左右2本のトレッキングポールを使うようになって、便利さの種類が違うと気づきました。1本は「支えがひとつ増える」。2本は「歩き方そのものを整えやすくなる」。似ているようで、役割が少し違います。
先に結論:普段の登山なら2本、場面によって収納する
今の私なら、長い登り下りや荷物が重い日は2本を選びます。左右交互に突くとリズムが作りやすく、下りで足だけに頼り続けずに済むからです。
一方で、岩場や鎖場、狭い場所では早めに収納します。ストックを持ったまま無理に通るより、手を空けた方が安全で速い場面はかなりあります。
つまり「1本か2本か」だけで決めるより、2本を基本にして、使わない場所ではしまえるかまで考える方が実用的でした。
1本のストックが使いやすかったところ
T字型を1本だけ使っていた頃は、何より気楽でした。片方の手はずっと空いているので、地図やスマートフォンを確認しやすい。道の脇へ避ける時も、2本をまとめる手間がありません。
ぬかるみや小さな段差で地面を確かめる用途なら、1本でも十分です。渡渉で石の位置を見る時や、傾いた道で補助の支点が欲しい時も役に立ちます。
ただ、長い下りでは左右どちらかへ頼りやすくなりました。持ち替えればよいのですが、疲れてくると同じ手で持ち続けてしまう。片側だけ肩や腕が疲れることもあります。
2本に変えて一番違ったのは、下りのリズム
2本使いで分かりやすかったのは、急な登りより下りでした。
足を置く前に左右のポールで軽く支点を作れると、一歩ずつ落ちるように下る動きが減ります。脚への負担が消えるわけではありませんが、上半身も使いながら着地を整えやすい。長い下山ほど、この小さな差が残ります。
登りでも、左右交互に突くと歩くテンポが崩れにくくなります。ただし、腕で強く押し続けると今度は肩が疲れます。地面をつかむというより、身体の前後動を少し支えるくらいが私には合っています。
1本と2本の違いを、歩く場面で比べる
| 場面 | 1本 | 2本 |
|---|---|---|
| 短い日帰り | 気軽で邪魔になりにくい | 使わない時間が長いと持て余す |
| 長い登り | 補助として使いやすい | 左右のリズムを作りやすい |
| 長い下り | 片側へ頼りやすい | 着地前の支点を作りやすい |
| 重いザック | 一点の補助 | バランスを崩した時に立て直しやすい |
| 岩場・鎖場 | 収納した方がよい場面が多い | 2本とも早めに収納したい |
| 写真・スマホ操作 | 片手が空く | 一度まとめる必要がある |
2本が常に勝つのではなく、長時間歩くほど利点が増えます。逆に、短いコースや手を頻繁に使う道では1本の気軽さが残ります。
2本持っていても、ずっと使う必要はない
トレッキングポールを持つと、せっかくだから使い続けたくなります。でも、岩の段差でポール先端が滑る場所や、両手で岩を持った方が安定する場所では逆効果になることがあります。
問題は本数より、収納に時間がかからないことでした。ザックの外側へすぐ固定できれば、必要な場所だけ使えます。収納が面倒だと、危ない場所まで手に持ったまま進みやすい。購入時は軽さだけでなく、畳んだ長さと自分のザックへの付けやすさも確認した方がいいです。
長さは平地で合わせて、登り下りで少し変える
最初の基準は、平らな場所でグリップを持った時に肘が自然に曲がる長さです。そこから登りでは少し短め、下りでは少し長めにすると使いやすくなります。
ただ、毎回細かく伸縮するのが面倒なら、無理に合わせ続けなくても大丈夫です。長さが少し合わないまま強く体重を預けるより、接地位置を近くして軽く使う方が安定します。
ストラップも、ただ手首へ通せばよいわけではありません。強く握り込まなくても支えられる位置を探し、転倒時に手が離せない使い方は避けます。
私が2本を選ぶ日、使わない日
テント泊や長い縦走、下山が長い山なら2本を持ちます。疲れてから使い始めるのではなく、歩きのリズムを作りたい区間で早めに出します。
短い低山や、岩場が中心のルートなら持たないこともあります。持つ場合も、最初から最後まで使う前提にはしません。
今使っているブラックダイヤモンドのパーシュートについては、こちらでまとめています。

T字ストックを含め、以前は使っていたけれど一軍から外れた道具についてはこちらです。

まとめ
1本のストックは、足場を確かめる補助として使いやすく、片手が空く気楽さがあります。2本は、長い登り下りで歩くリズムを整え、疲れた時の立て直しに強い。
私の場合は、長時間歩くなら2本です。ただし、持っているから使い続けるのではなく、手を使いたい場所ではすぐしまう。その切り替えまで含めて、ようやく歩きやすい道具になりました。

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